摂食嚥下障害で引き起こること、それは「窒息事故」です。
現在、高齢者の窒息事故は増加の一途をたどっており、約1万人が命を落としています。これは年間交通事故死を約3千人も上回る数で、いかに窒息事故による事故死が多いかをあらわしています。なお、窒息事故による死亡者のうち半分が高齢者による誤嚥(誤って肺にのみこむこと)です。
窒息事故の原因は主に食物ですが、誤嚥の原因となる食物とはいったいなんでしょう?
まず思い浮かぶのは・・・お正月に食べる「お餅」ですね!
でもお餅は第二位。
では誤嚥の原因となる食物の第一位はなんでしょうか??
答えは・・・「パン」です!!
パンは水分を含むと膨れるし、またこの水分と相性が良いのが誤嚥しやすい食べ物といえます。
あとは、「ご飯」「あめ」「だんご」「カップ入りゼリー」などです。
ですから、以上のような食べ物を食べる時は、特に高齢者の方は注意しなければなりません。
「高齢者は嚥下力が低下している」ことを十分に念頭におく必要があります。
これは
①歯が(部分的にでも)無くなったことによる咀嚼力(咬む力)の減少
②味覚などの衰え
③嚥下する時の筋力の衰え
④咳の反射の衰え
⑤体の抵抗力・免疫力の低下
などが加齢的に(年を重ねると)起こるからです。
では、まずそれらを予防するには、どうすればいいのか。
それは「しっかりとした自分の歯を残す」ことです!
何がなんでも歯を抜かず、ぐらぐらしている、今にも抜けそうな歯を残すことでは決してありませんよ(笑)
自分の歯でしっかり噛める高齢者の窒息事故は4.4%
自分の歯でしっかり噛めない状態の高齢者の事故は17.5%
義歯を装着することでしっかり噛める高齢者の事故は9.8%
というデータがあります。
つまり、まず「しっかりと噛める自分の歯を残す」ことが摂食嚥下障害による窒息事故を予防する方法であり、またしっかり噛めない方は「義歯を作製してしっかり噛めるようにする」ことが重要といえます。
では、ご自分が、もしくはご家族の高齢者の方が「摂食嚥下障害」かどうかはどうやって判断するのでしょうか?
伊丹市 木下歯科 木下勝巳